2025.07.09 佐賀県立大学シンポジウム
佐賀県立大学シンポジウムに参加いたしました。設立に期待感の高まる内容でした。
最初に申し上げておくと、僕はこの件に関して賛成でも反対でもありません。そもそもすぐに二項対立で語りたがる風潮が好きではないです。
個人的に県立大学に期待している役割は、
①佐賀県の高校生の人口流出阻止
佐賀の高校生の県内進学率は2割を切り、これは九州内でダントツの最下位です。主な理由は佐賀大学と西九州大学の2つしか4年制大学がなく、難易度的にも学部的にもこの2つを補完する選択肢が無いからだと思われます。
②県外から若者の獲得
実は、佐賀大学と西九州大学も、佐賀県出身者はそこまで多くありません。僕の知り合いには、大学で佐賀へ来てそのまま定住したという人も割といます。
人口減少の現代社会において、地域の魅力を増やして外から人を集める工夫は必須です。
③県民の学び直しの場
シンポジウムの最後に僕の質問が読まれて光栄でした。内容は「経済的理由で4年制大学進学を諦めた者です。設立後何年か先の話だとは思いますが、社会人入試についてお考えがあればお聞かせください」というもの。
山口学長(予定者)からご回答をいただき、積極的に進めていかれるようでした。
④高度な人材の育成
学問としては経営とテクノロジー、獲得する能力としては課題解決能力を挙げられておりました。資料にあった内容で4年間学べば、確かに優秀な若者が育ちそうです。
ちなみに、よく「少子化時代に大学新設なんて!」というご意見を見かけますが、むしろ逆だと思います。
①と②で書いたように、少子化の時代だからこそ、流出を防ぎ新たな入り口となる策を講じるべきです。
また、子どもは確かに減っていますが、高校卒業後進学を選ぶ高校生の数は30年前の約2,000人から約3,500人まで増加しており、数値上でも県立大学が佐賀県の人口維持策として有効である可能性が示されています。
何もしなければこのままゆっくりと確実に終わるだけです。何事も賛成反対を表明する場合まずは事実とデータを用いて論じるべきですし、反対するのであれば課題解決に向けた代替案を提示するのが筋でしょう。
皆さんも、この点において安易な議員さんや言論人の方を見かけたら、一旦俯瞰して見ていただきたいです。
ここから懸念点です。
①人材を育てる人材の確保
恐らく建物は建ててしまえば良いものが出来るでしょうし、カリキュラムも面白いものが考案されるでしょうが、それを実現し活かしきる講師陣やシステムを用意出来るのか気になります。
②出口の整備
例えば秋田県の公立国際教養大学を例にすると、確かに優秀な人材は育っていますが、結局就職を機に県外へ出て行く人がほとんどだそうです(国益にはなっているが)。
開学までの4年弱で、魅力的な企業誘致や公務員の待遇改善、大学で得た課題解決能力などを活かせる土壌を整備するなど、卒業後も佐賀に定住したくなるような県自体の魅力を高めていかねば、税金で育てた優秀な若者をみすみす逃してしまうことになりかねません。
作ると決まったものは、より良くなるよう費用対効果など検証と議論を重ね、佐賀県の利益を最大化していただければと思います。
